姓名判断

姓名判断とは

 「名は体を表わす」というのは、お釈迦様の言葉です。例えば、同じ1枚の紙であっても、「約束手形」と命名されるか、「メモ用紙」と命名されるかによって、その価値が全く異なってしまうように、人の名前というものが運気に及ぼす影響は大きなものがあります。
 姓名判断について述べられている最も古い文献は「春秋左氏伝」という書物で、中国の春秋戦国時代に書かれています。
 また、我が国の歴史上の姓名研究家としての有名人には、吉備真備、新井白石、本居宣長などがいますが、中でも、六代将軍・徳川家宣、七代将軍・家継の頃の幕政を牛耳っていた新井白石は、「人名占事略決」「人名文通考」「人名考」という姓名学の専門書を著しています。
 本格的な姓名学は、明治時代の中期の頃より、学問的に体系づけられて行きました。
 しかしその後、国内では、さまざまな流派が誕生し、今や画数の取り方一つとっても意見が分かれてしまっているのが現状です。

 ここでは、その学問体系の流れをくむ、昭和初期の研究者である小林晟高氏の著「正命法秘録」を元に、書家である、故・野尻泰煌先生が確立した「泰煌式生命法(たいこうしきせいめいほう)」にそって、解説を進めていきたいと思います。
 「姓名法」ではなく、あえて「生命法」と記しているのは、名前を通して、その人の生命そのものを見ていく技術であることを示すものです。

泰煌式生命法による「名前の四大要素」

 泰煌式生命法の姓名判断では、名前の要素を、①陰陽バランス、②音の五行、③画数の順で、重要視していきます。
 それと同時に、これら3つと並行して、その名前の意義(字義)というものも見ていきます。例え画数が完璧であっても、陰陽バランスが悪ければ良い名前とは言えませんし、名前の意義が悪ければ、意味をなしません。その苗字に合った、意義の良い名前にすべきです。
 ゆえに、字義がつながっていない名前や、画数を揃える為に作ったような不自然な名前は、どんなに画数が完璧であっても、あまり良い名前とは言えないことになります。

  • 徳川家康(吉)

     伊東法師が、書経・洪範の中の「家用平康」という言葉を元に、撰ばれた名前です。
    「徳が川のように流れ、家の子孫は泰平(康)になる」という意義の名前で、非常に吉命です。
  • 吉田松陰(凶)

     字義がつながっているだけ、まだ良いのですが、「良い(吉)田んぼが、松の木の陰に隠れ、太陽の恩恵を受けられない」という意になり、残念ながら凶となります。

     名前を命名する際には、字義の良くない漢字は、極力用いないようにするのが望ましいでしょう。
    「忌み字」というのは、多々ありますが、その中でも極端なものをあげておきます。
    汚 悪 毒 苦 劣 陰 死 棄 悲 魔 欺 淫 怒 狂 懲 殺 蠱 凶 辱 墓 醜 卑 獣 破 罰 欠 怪 愚 罪 敵 盗 豚 葬 奪 窃 敗 囚 姦 殴 誤 虐 拷 恨 憎 逮 堕 呪 衰 臭 暴 病 妨 亡 尿 絶 弱 痘 倒 貧 爆 怨 獄 負 屈 廃 焦 潰 棄 捨 惨汚 悪 毒 苦 劣 陰 死 棄 悲 魔 欺 淫 怒 狂 懲 殺 蠱 凶 辱 墓 醜 卑 獣 破 罰 欠 怪 愚 罪 敵 盗 豚 葬 奪 窃 敗 囚 姦 殴 誤 虐 拷 恨 憎 逮 堕 呪 衰 臭 暴 病 妨 亡 尿 絶 弱 痘 倒 貧 爆 怨 獄 負 屈 廃 焦 潰 棄 捨 惨

     見ているだけで、気持ち悪いイメージがわいてくる漢字は避けるべきです。

     一昔前、我が子に「悪魔」と命名しようと届けを出した所、その命名が不適切であるとして行政が受理を拒否した騒動がマスコミの話題をさらいましたが、これなどはその典型で、仮に画数や陰陽バランスなどが吉相であったとしても、そういった名前は姓名判断では大凶と判断します。

陰陽バランス

 「陰陽バランス」とは、姓名の名前の一文字一文字の陰陽を割り出し、その配合の良し悪しを見ていくもので、泰煌式生命法では、この部分を最も重視します。
文字の陰陽は、画数が奇数であるものを「陽」、偶数であるものを「陰」として見ていきます。

 ただし、漢字の画数は日常使われている新漢字(常用漢字)の画数ではなく、あくまでも正字体の字そのものの画数 で見ていきます。当用漢字・略字・俗字は、全て正字体に置き換えての画数で見ていきます。

 陰陽バランスは、「自然象形(吉)」と「不自然象形(凶)」に、分けられます。
 さらに不自然象形は、「片別れ象形」「まきなおし象形」「別れ別れ象形」「大挟み象形」「しばり象形」の5種類 に分ける事ができます。

 大切な事は、象形の吉凶そのものに囚われるのではなく、それぞれの象形の名前が、どのようにすれば運が開けるのかという、開運策に他ならないでしょう。
 ここでは、よくある苗字2文字、名前2文字のパターンを例にとって、歴史上の人物をあげてみます。

  • 自然象形

    ・陰・陽陽陽・陰陰

    最も理想的な、陰陽バランスの組み合わせです。

     15  陽  3   陽  10  陰  11  陽

     18  陰  6   陰  7   陽  6   陰


  • 不自然象形5種

    • 片別れ象形陽陽陰陰陰陰陰陰

      何事も極端になりやすく、独断専行型で気持ちにムラがあります。常に平常心で、内面に目を向けて、中庸を意識する事で、運が開きます。

       5   陽  5   陽  3   陽  7   陽



    • まきなおし象形陽陽陰陰陰陰陰陰陰陰陽陽陽

      何事も竜頭蛇尾となりやすいと言われる象形ですが、政治家に多いのが特徴です。自分で事を起こすより、人を上手に活用するすべを身につける事で開運します。

       8   陰  12  陰  6   陰  7   陽



    • 別れ別れ象形陽陽陰陰陰陰陽陽

      人との融和性がなく、喧嘩腰になりやすい名前です。
      こだわりが必要な職人や技術職には向きます。必ずしも自分が正しいと思わず、人の意見を取り入れる事で、運が開きます。

       7   陽  5   陽  16  陰  10  陰



    • 大挟み象形陰陰陽陽

      被害妄想的になりやすく、自分を追い詰めやすい象意です。冒険家などには向きます。心の垣根を外して、あるがままを受け入れるようにする事で、運が開きます。

       18  陰  5   陽  9   陽  8   陰



    • しばり象形陽陽陰陰

      大挟み象形が弱まったものですが、過去に囚われて心が縛られやすい象意です。感受性が豊かで、芸術家や風流人も多いです。思考を現在と未来に向けて、心を明るく持つ事で、大きく運が開きます。

       6  西 陰  13  陽  12  陰  12  陰


音の五行

 「音の五行」とは、その文字の発音が示す五行のことです。それぞれの文字に宿る五行属性を調べ、その五行性質や組み合わせによって、その人の性質を見ていきます。五行については、四柱推命の陰陽五行の項をご参照ください。
 平仮名、片仮名の場合、言葉として発する音によって、五行が決まります。

  • 木の属性の音 
    牙音(前歯に掛かって出る音)カキクケコ
  • 火の属性の音 
    舌音(舌を使う音)タチツテト ナニヌネノ ラリルレロ
  • 土の属性の音 
    喉音(喉から直接出る音)アイウエオ ヤユヨ ワ
  • 金の属性の音 
    歯音(歯の隙間から出る音)サシスセソ
  • 水の五行の音 
    唇音(唇を震わせて出る音)ハヒフヘホ マミムメモ ン

 漢字の場合には、実際に読ませる時の発音ではなく、その字が持っている「漢音」の発音で、五行属性が決まります。例えば、「重」という漢字は、訓読みでは「おもい」、音読みでは「チョウ」と「ジュウ」という読みますが、「チョウ」は漢音、「ジュウ」は呉音です。漢音の発音は「チ」から始まるので、「重」は火の属性を持つ漢字ということになります。

 五行はその人の個性を表わす要素で、基本吉凶はありませんが、同じ五行の文字が重なったり、五行同士の配合が悪い場合(姓名判断では、画一的に、相生は良くて相剋は悪い、とは判断しません)には、性格に偏りを生じる事になります。 なお、姓名の五行が表わす性質を一言で述べると、次のようなことになります。

  • 木の属性の音 
    からっと晴れて、自由な性質
  • 火の属性の音 
    情熱的で、忙しそうにしている感じの性質
  • 土の属性の音 
    おだやかで、受動的な性質
  • 金の属性の音 
    固くて、几帳面な感じの性質
  • 水の五行の音 
    現実的で頭の良い、商人気質な性質

画数による象意

 画数は、姓名判断のおける最も基本的な鑑定法ですが、これにより、その人が持っている、この世的な運の開き具合を見ます。

 泰煌式生命法では、全て正字体の画数が基本ですので、氵(サンズイ)は3画 として数え、4画とは数えません。その漢字の正字が実際に何画で書かれていたか、という事を最も重要視していきます。平仮名に関しては、それ自体が画数を持っていないので、同じ読み方の片仮名の画数で数えていきます。

 また、苗字が一文字の時に、一をつけ加えるといった事もしません。正しい文字の成り立ちや文化をきちんと踏まえた上で、姓名をありのままにみていくのが、日本で体系づけられた「正命法」の流れを汲む「泰煌式生命法」の手法です。

 なお、女性の名前の最後によく使われる「子」という字は、画数として数えません。なぜなら「子」という文字は明治以前、現代の「殿」や「様」と同じ役割で宛名などに使われる尊称の意の漢字だったからです。(昔は、名前の最後に「子」がつく女性が、天皇陛下に自作の和歌をたてまつる時のならわしとして、圭子さんの場合なら、和歌の最後に「圭」とだけ記していました)

 画数では、天格(苗字)は生まれる前の家系の運命を、地格(名前)は平常時の運と30代までの運命を、人格(姓と名の連結部)で非常時の運を、そして総格によって全体運を見ていきます。この中では、総格が一番重要です。 画数が悪いと、「頑張っている割には報われない」という事になりやすいと言われますが、画数より優先して「陰陽バランス」をまず整える必要があります。

 ※画数は、「陰陽バランス」「意義」よりも、吉凶の優先順位は低いので、例えここで「凶」に該当する格数の名前であったとしても、必ずしもこの限りではありません。

1画から81画までの大まかな象意と吉凶を見る
  1. 1画大吉
    天からの引き立てを受け、栄達あって財と名をなす。
  2. 2画大凶
    抗争・分裂・離散を起こし、常に困難と苦労が多い。
  3. 3画大吉
    発明・建設の才あり。立身出世、栄誉発展する。
  4. 4画
    意欲はあれども力不足で、不満のままの人生に終わりやすい。
  5. 5画大吉
    他人の引き立てと尊敬を集めて、富貴栄達する。
  6. 6画大吉
    天の徳を有し、万難を排して、出世する。
  7. 7画
    多少の不和もあるが、理想を描き、困難を乗り越えて成功する。
  8. 8画
    意志力と建設の才があって、名実を守り抜き成功する。
  9. 9画
    辛苦困難多い。私欲を捨てれば、精神事業は成功する。
  10. 10画大凶
    人生の努力が虚無徒労に終わりやすく、報われない。
  11. 11画大吉
    新規事業を発展させ、富貴栄達を極める。
  12. 12画大凶
    分裂離反を繰り返し、失意のままに孤独に陥りやすい。
  13. 13画
    智謀が合って弁舌が巧み、聡明な参謀役として活躍できる。
  14. 14画
    創意に富むも、力は乏しく、労多くしてあまり報われない。
  15. 15画大吉
    人の頭となって、破竹の勢いで功名をなし、立身出世する。
  16. 16画
    波乱はあっても、人望を集め、大事大業を成し遂げる。
  17. 17画
    剛直で人を裁き多少の不和を招くも、大志大業を得て成功する。
  18. 18画
    一度立てた志を貫徹し、大事大業をなし、名利を博す。
  19. 19画
    仕事と家庭に不和を生じやすく、艱難辛苦が多い。
  20. 20画
    障害を受けやすく、何かと分裂中断しやすく、孤独になる。
  21. 21画大吉
    知恵と徳が備わり、天の恩恵で、自己の分限を超えて成功する。
  22. 22画
    外見は華やかに見えるも、事は意の如く行かず、辛苦が多い。
  23. 23画大吉
    諸事よく勝ちを制し、大志大業を成し遂げて、人の頭領となる。
  24. 24画
    多少艱難辛苦あるも、智謀により、無から有を生み出し発展する。
  25. 25画
    他人との不和や衝突あるも、最後には成功し、大いに功をあげる。
  26. 26画
    極端から極端に流れやすく、波乱万丈で、常に心が休まらない。
  27. 27画吉凶なし
    権威や智謀はあるも、不和で人の信用に乏しく、多情となる。
  28. 28画
    遭難的な数で、軽率に無理を企てて、大失敗しやすい。
  29. 29画大吉
    智謀に優れていて、権威や貫録もあり、名誉を得る。
  30. 30画吉凶なし
    困難と幸福が交互にやって来て、浮き沈みが激しい。
  31. 31画大吉
    意思強固で開拓精神旺盛。何事にも屈せず、大成功する。
  32. 32画大吉
    僥倖の命で、破竹の勢いを持って成功する幸運の持ち主。
  33. 33画大吉
    建設の才に富み、旭日昇天の勢いで大志大業を成就する。
  34. 34画
    才能はあるも、何かと支障が多くて、辛苦がつきまとう。
  35. 35画吉凶なし
    芸術家や技術者には向くが、人の上位に立っても失墜する。
  36. 36画
    英雄的に自己を捨て仁をなすも、波乱万丈で転落しやすい。
  37. 37画
    知略と実行力を持ち、独自の貫録で、衆望からの人気を集める。
  38. 38画末吉
    才能あるも放漫で軽率。他人の意見を聞き入れる事で成功する。
  39. 39画大吉
    名誉・財産・健康の三徳を有し、才智もあって、富貴繁栄する。
  40. 40画末吉
    才智あれど自信過剰になりやすく、控えめにする事で運が開く。
  41. 41画大吉
    意志強固で堅実、頭領と仰がれて家運盛大となり、大繁栄する。
  42. 42画吉凶なし
    物事に通じ独創性あるも、多方面に手を出し過ぎると失敗する。
  43. 43画吉凶なし
    無欲淡白で、人気を集めるも、中途半端に終わりやすい。
  44. 44画
    常に不満を持ち、人と和合せず、辛苦困難を伴いやすい。
  45. 45画
    辛苦を乗り越えて、万難を排し、大志大業を達成する。
  46. 46画
    苦労が多く、それを乗り越えて成功するも、末路は良くない。
  47. 47画大吉
    共存共栄の志があって、家運は栄え、富貴幸福を子孫に伝える。
  48. 48画
    世話好きで、才能もあり、良き参謀役として名をなす。
  49. 49画
    強情で物欲が強く、失敗や損失により四苦八苦しやすい。
  50. 50画
    大業を成す事もあるが、波乱万丈で困難に遭遇しやすい。
  51. 51画
    創業の才があって、努力を重ねる事で、指導者として成功する。
  52. 52画
    投機心に富み至難の技を成し遂げ、信念と先見の明で成功する。
  53. 53画
    永続性に欠けるも、精神力で大事大業を成し遂げる事もできる。
  54. 54画大吉
    万事障害が多く、破産の兆しがあり、心労が絶えない。
  55. 55画吉凶なし
    波乱が多く、意思強固なら成功するが、中途挫折になりやすい。
  56. 56画
    損失が重なり、計画倒れとなりやすく、何事も上手く行きにくい。
  57. 57画
    智謀があって、意志が強固であり、困難を乗り越えて成功する。
  58. 58画
    軽率ではあるが、困難を乗り越え、やがては大業を成就する。
  59. 59画
    進取の気に乏しく、事をなさんとして、常に損失が多い。
  60. 60画
    不安定で苦労が絶えず、万事が意の如くにならない。
  61. 61画
    謙虚に徹する事で、名利を得られ、富貴栄達を得る事ができる。
  62. 62画
    内外の不和を招き、志が達成し難く、常に困難に遭いやすい。
  63. 63画
    何事も比較的順調に目的を達成し、富貴・幸運を得やすい。
  64. 64画
    浮き沈みが甚だ激しく、苦難が重なり困難辛苦が多い。
  65. 65画大吉
    万事が意の如くとなり、富貴・繁栄を保ち、一生安泰に過ごす。
  66. 66画
    困難が多く、損失と災難が交互にきて、心に憂いが多い。
  67. 67画
    目上からの庇護を受け、堅実に物事を実行し、成功をつかむ。
  68. 68画
    思慮分別があって、創意工夫に富み、それにより幸運を授かる。
  69. 69画大凶
    災難が重なりやすく、危地に陥り、常に不安な状態となる。
  70. 70画大凶
    逆境の極みとなり、貧苦困難に加えて、長病重患の憂いがある。
  71. 71画末吉
    自分で事をなすよりも、周囲に合わせて生きる事で幸運となる。
  72. 72画
    利害・苦楽が交互に訪れるも、最後は思わぬ災難に倒れやすい。
  73. 73画大吉
    天然の幸福を得て、平安に一生を保ち、富貴・繁栄をつかむ。
  74. 74画
    無用の人となりやすく、生きがいなく、辛苦困窮がつきまとう。
  75. 75画末吉
    自然にしていれば運が開くが、進んで事をなすと災禍がくる。
  76. 76画末吉
    破産の憂いを持つが、正義に徹する事で自然と富貴栄達を得る。
  77. 77画吉凶なし
    人生の前半成功すれば後半悪く、前半不運なら後半良くなる。
  78. 78画吉凶なし
    天然の富貴を得るも、勢いがなく、晩年次第に衰退しやすい。
  79. 79画
    身体健全であるも、節操なく実行力なく、無能の人となる。
  80. 80画
    波乱と苦難が常につきまとうが、身を退けば災難を免れる。
  81. 81画大吉
    万事支障なく事をなし遂げ、富貴・幸慶を受けて、隆盛を極める。